月輪大梵字が彫刻された1264年は、史上最大の彗星が観測され、その前年には2回の月食があったことがわかっております。
これらのことから、月輪大梵字は薬師如来、不動明王、毘沙門天の仏の力で不吉な力(彗星・日食・月食)を封じ込めようとして彫られたのではないかと思われています。
五輪塔は、亡くなった人の供養のために建てられる供養塔です。
この大五輪塔は清水磨崖仏群の中で最も古く、日本一の大きさです。
下から地輪、水輪、火輪、風輪、空輪という意味の梵字が彫られており、仏教では世界を作る5つの要素と考えられています。
宝篋印塔も、亡くなった人の供養のために建てられる供養塔です。
この三大宝篋印塔は、鎌倉時代後期、川辺を治めていた河邊氏の関係者と思われる、清浄という女性の供養のために彫られたものであると推測されています。
年号・目的・造立者が記録されていることから詳しいことがわからない磨崖仏が多い中で、とても貴重なものです。